こんにちはカメラのキタムラ松本並柳店安藤です。
最近「写ルンです」がひそかなブームだそうです。
「写ルンです」は1986年に富士フィルムが発売を
開始した、固定焦点のレンズ付きフィルムの登録
商標で言わずと知れた使い捨てカメラの元祖です。
デジタルカメラが普及する以前、「写ルンです」を
愛用しておられた方も多いのではないでしょうか?
フィルムを知らない現代のデジタル世代の若者には
フィルムのノスタルジックな写りがかえって新鮮に
映るのかもしれませんね。
初代「写ルンです」の発売から30年が経ちデジタル
全盛の時代になってラインナップが縮小されはした
もののいまだ発売が継続されている「写ルンです」。
その人気の秘密はどこにあるのでしょうか?
やはりシンプルな構造ゆえに誰もが気軽に使える
ことが長年支持されてきた理由ではないでしょうか?
フィルムを巻き上げたらファインダーをのぞいて
シャッターを切るだけ。ピント合わせは一切必要
ありません。
気をつけることといえば、大体被写体から1.5m以上
離れて撮影することくらい。
ピントは固定、シャッタースピードも固定、絞りも
固定という潔さ。
シンプルすぎてちゃんと写るのか当時は心配された
そうですがネーミングは伊達ではありません。
ちゃんと「写ルンです」ね。(笑)
ピント合わせが要らない理由はレンズが広角でF値が
F10以上という絞り込んだ設計になっているため
ピントの合う範囲がとても広いからなのです。
現行の「写ルンです」のラインナップは3種類、
絞りはF10とF14、焦点距離はいずれも32mm、
シャッタースピードは1/125秒~1/200秒となって
います。広角レンズはそもそも手振れに強く一眼レフ
のようなミラーアップによる振動もないため1/125秒
という比較的スローシャッターでも十分手振れのない
写真を撮ることが可能です。
構えたらサッと撮れるというのはシャッターチャンス
にとても強いカメラだということになりますね。
しかも構造のシンプルさゆえにレリーズタイムラグは
世界最速レベルだと言われています。
(特殊なカメラを除く)
レリーズタイムラグとはシャッターボタンを押してから
実際に撮影が開始されるまでの時間差のこと。
各社フラッグシップ一眼レフでもレリーズタイムラグ
は概ね0.03秒~0.05秒くらいだと言われていますが
「写ルンです」はそのスピードを凌ぐと言われています。
瞬発力が求められるスナップ撮影にはピッタリのカメラ
なんですね。
さてここからが本題なのですがそんないいとこどりの
「写ルンです」はあくまでもレンズ付きフィルムという
使い捨てカメラであること。
「写ルンです」のような使い方ができてフィルム交換
出来るようなカメラは存在したのでしょうか?
じつはあったのです。
それが今回紹介するKonica EFJ。
iPhoneで撮影
Konica EFJが発売されたのは初代「写ルンです」が
発売された翌年の1987年。
Konica(コニカ株式会社)はかつて日本を代表する
カメラとフィルムのトップブランドでした。
「さくらカラー」、「小西六写真工業株式会社」という
表記が懐かしい方もいるのではないでしょうか?
iPhoneで撮影
2006年にDPE事業を大日本印刷(DNP)に譲渡して
撤退するまでに数多くの優秀なカメラを世に送り出し
ました。
今回紹介するKonica EFJは固定焦点カメラ、つまり
「写ルンです」と同じくピント合わせを必要としない
カメラなのです。
搭載しているレンズは写りに定評のあるHEXANON、
焦点距離は36mmで開放F値はF4となっています。
シャッタースピードは1/125秒で固定。撮影には電源
を必要としないシンプルなメカニカル構造という点も
「写ルンです」と同じです。
ストロボが必要であれば単三電池2本を使用します。
違いはフィルムを交換できるという性質上、使用する
フィルムの感度に合わせて絞りを変更できることです。
レンズのISO、ASA指標を100に合わせれば絞りは
F8に、指標を200に合わせれば絞りはF11、400に
合わせるとF16になるのです。
iPhoneで撮影。ひし形の絞りが見えます
もちろん、ISO100のフィルムを使って絞りをF16に
したいのであれば指標を400に合わせればよく、
400のフィルムをF8で撮影したいなら指標を100に
合わせればいいのです。
そして内蔵されているストロボをポップアップさせると
ISO、ASA指標100、200、400それぞれの位置で
各2段づつ明るくなりF4、F5.6、F8でのストロボ
発光モードとなります。
さらにストロボをポップアップさせた状態でストロボ
下部のレバーをレンズ側に押しながら撮影すると
絞りが2段明るくなる動作は解除され、F8、F11、
F16のままストロボ発光モードとなるわけです。
iPhoneで撮影。ポップアップレバー
これらの仕様を一応頭に入れておけば必要に応じて
自由に絞りを変更することが可能になります。
例えばストロボを使わず開放F値のF4で撮りたいなら
ISO、ASA指標を100にあわせた上でストロボの
電池を抜きポップアップさせて撮影すればいいのです。
慣れてしまえば応用が利くのでなかなか便利です。
私の場合、以前のOM-1編で触れたように感度100
のフィルムを使用した場合、晴天で白飛びしない
シャッタースピードはF16のとき1/125秒と基準を
決めているので指標を400に合わせれば、ちょうど
基準ピッタリの設定になるわけです。
仮に天気が曇りなら指標を200もしくは100に
合わせるなどの工夫でちょうどいい明るさにすること
もできるのです。
このカメラの実写テストを兼ねて今回は並柳登山部
の皆川さんと信濃富士と呼ばれている有明山を
裏参道から歩いてみることにしました。
今回はKonica EFJのほかにCanon EOS 7sも
撮影に持ち出しました。そちらのレポートはまた後日
行いたいと思います。
いつものようにiPhoneをサブ機として使用しました。
iPhoneで撮影
とにかくバリエーションに富んだコースという印象の
有明山登山道。
所々に鎖場も多々あり気が抜けません。
Konica EFJで撮影
こういう両手を使って登らないといけないルート
ではコンパクトなカメラは本当に助かります。
HEXANONレンズの写りは噂どおり優秀で
コントラストも高くシャープな印象を受けました。
iPhoneで撮影。
けっこう際どいスリリングな岩場を越えていく
場面もあります。
iPhoneで撮影
稜線に出るまで急峻な登りが続きます。
Konica EFJで撮影
なんとか無事に山頂に到着いたしました。
ピント合わせしなくてもここまでシャープに
写ります。色のりも悪くありません。
せっかくの有明山ですから、滅多に
来れないだろうということで一番南の奥社
を目指すことにしました。
iPhoneで撮影
iPhoneで撮影
iPhoneで撮影
Konica EFJで撮影
Konica EFJを使用してみて感じたことは
コンパクトながら丁寧な作りでとても
好感が持てました。ファインダーの見え方
も優秀でこの辺りが「写ルンです」とは
やはり違いますね。
当然といえば当然ですが。(笑)
ピント合わせが必要ないということで当初は
ピンボケを量産してしまうのかもと心配
しましたが36枚撮影してみてピンボケは
一枚くらいしかありませんでした。
スナップシューターとして大変優秀な
Konica EFJ、今となっては滅多に中古を
見つけることはないのですが見つけたときは
即ゲットしてみて下さい。
意外と面白い一枚が撮れるかもしれませんよ

カメラのキタムラではネットからも全国の
キタムラの中古情報を見ることが出来ます。
「写ルンです」の人気が再燃している今、
フィルムカメラの魅力を再発見してみませんか?
おまけ
有明山で撮影したiPhoneの写真を少しだけ公開します
有明山はけっこう厳しい山でした。
機会があれば皆様も一度挑戦してみては
いかがでしょうか?

※記事の内容は記事公開時点での情報です。閲覧頂いた時点では商品情報や金額などが異なる可能性がございますのでご注意ください。